ノクターン Op.9-2
2024 Spring:Nocturne Op.9-2
ノクターン全21曲の中で最も有名な作品。1830年11月、ポーランドは武装蜂起するが、ロシアの鎮圧に敗れ祖国は荒れ果てた。革命の直前に故郷を離れウィーンにいた20歳のショパンは、「神を恨む」とまで慟哭したという。その苦境の中でこの美しい旋律は生み出された。従来の舞踊化では、甘やかなパ・ド・ドゥや妖精を彷彿とさせる女性群舞が多い。
実は町田はこの曲を舞踊化するにあたり、学生ダンサーたちが性別なくソロで踊れるようにはじめ創作した(2018年)。だが創り込むうちに「成熟した男性の内面」を映す作品となる可能性に気づき、これを高岸に献呈するに思い至った。冒頭より印象的に繰り返される「追想」の旋律。そこに寄り添いつつも、時に破綻するムーブメント。最終部では何かに突き動かされる激情が迸る。そしてコーダで奏でられる「教会の鐘」の中で、男は何かに決別し、未来へと歩み出す。
微かな翳りを映し出すツヴィ・エレツの名演と共に、高岸直樹の円熟した舞踊が光る。
Art Direction(監修):Atelier t.e.r.m
Choreography(振付):Tatsuki Machida(町田樹)
Performance(実演):Naoki Takagishi(高岸直樹)
Music(音楽):Nocturne Op.9-2(ノクターン9-2)
[Tzvi Erez Plays Chopin, NiV Classical, NivCD 00021]
Composer(作曲):Frédéric Chopin(フレデリク・ショパン)
Piano(演奏):Tzvi Erez(ツヴィ・エレツ)
Music Editor(音楽編集):Keiichi Yano(矢野桂一)


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