献呈
2024 Spring:Widmung
ロベルト・シューマン(1810-1856)の原曲「献呈」は、歌曲集《ミルテの花》作品25の第1曲目。原曲の詩はドイツ・ロマン派の詩人フリードリヒ・リュッケルトによる。この作品は妻クララへ結婚式前日に贈られたという逸話がある。フランツ・リスト(1811-86)編曲によるピアノ独奏版《献呈》は、原曲を内包しつつもリストの技巧的かつ豪華なパッセージによって、特に終盤では心の内から溢れ出てくるかのような「想いの丈」が高らかに奏でられる。それを十全に表現する反田恭平の演奏が圧巻である。
最終部のシューベルト「アヴェ・マリア」(1825)の旋律では、シューマン=リストの敬愛の念も喚起される。原詩の冒頭「きみこそはわが魂よ、わが心よ」(志田麓訳)というに一文にも導かれ、町田は本曲から普遍的な「献呈」の精神を引き出した。近年バレエ芸術の極みを示し続けている上野水香が、「舞踊への愛と献呈」をその身体で謳いあげる。
Art Direction(監修):Atelier t.e.r.m
Choreography(振付):Tatsuki Machida(町田樹)
Performance(実演):Mizuka Ueno(上野水香)
Music(音楽):Widmung Op.25 No.1(献呈)
[反田恭平 Clair de Lune Recital Pieces Vol.1, Denon, COCQ-85364]
Composer(作曲):Robert Schumann(ロベルト・シューマン)
Arrangement(編曲):Franz Liszt(フランツ・リスト)
Piano(演奏):Kyohei Sorita(反田恭平)
Music Editor(音楽編集):Keiichi Yano(矢野桂一)


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